目先の売上や数字だけを追いかけていたら、いつまで経っても会社は大きくならない。一時的に数字が下がったとしても、長い目で組織の土台や仕組みを作る方が絶対にいい。保証会社などの新しい企画や、月額賃貸管理費用無料の管理受託を始めるにあたって、最近つくづくそう痛感している。
これまで、会社の新しい企画もその運用も、そして実際の営業も、ぜんぶ自分ひとりで回してきた。賃貸管理の営業だって、お客様から電話がかかれば「折り返しお電話します」と自分がすべてを抱え込み、プレイングマネージャーの限界ギリギリで走り続けていた。
しかし、いつまでもトップが現場の最前線で個人の力だけで数字を作っていては、会社組織は絶対に大きくならないし、何より部下が育たない。トップが会社の広告塔として表に出て引っ張っていくのはいい。だけど、実務や新しい仕組みの展開までワンオペでやっていては頭打ちになる。組織として成長するためには、自分が動くのではなく、スタッフ全員が同じクオリティで動ける体制を作らなければならない。
今後、保証会社をはじめとする新しい企画やサービスを次々に展開していくにあたり、一つだけ絶対に譲らないと決めているルールがある。それは、新しいサービスを始める前に、必ず「標準マニュアルの作成」「研修会資料の作成」「研修会の開催」をセットで行うということだ。
新しい企画の資料やマニュアルをAIの力を借りて組み立てていくと、驚くほどスピーディーに形にすることができる。しかし、その過程で面白いことに気づいた。AIを使って論理的かつ網羅的に資料を作ろうとすればするほど、これまで自分ひとりの感覚や勢いでごまかしていた「企画の穴」や「現場でのオペレーションの問題点」が、ものすごく鮮明に浮かび上がってくるのだ。
「この手順だと実際の現場で手が止まるな」「お客様への案内がここに抜けているとトラブルになるな」という細かいほころびが、資料化の段階で次々と見えてくる。つまり、AIで資料を作るという作業自体が、企画の粗をあぶり出し、本当に機能する仕組みへとブラッシュアップするための最高のフィルターになっている。
新しい企画やサービスを思いつくと、どうしてもスピード重視で「まずは現場に出してみよう」となりがちだ。しかし、どれほど完璧なマニュアルや資料ができたとしても、それをただデータとして配るだけでは意味がない。マニュアルも渡さずに「あとはよろしく」と丸投げしたところで、スタッフが戸惑うだけで終わってしまう。それでは結果的にお客様に迷惑をかけ、会社の信頼を落とすことになりかねない。
昔のように自分がすべてを抱え込んでワンオペで回していた頃なら、自分の頭の中だけで完結できたからマニュアルなんて要らなかった。しかし、組織として成長し、スタッフ全員が同じクオリティでお客様に向き合うためには、作り込んだ研修会資料をもとに、実際に全員で集まって「研修会」を開催することが絶対に不可欠だ。
スタッフが自分の言葉でそのサービスを語れるようになり、疑問点をその場で解消し、全員が同じ方向を向いて初めて新しい企画はスタートラインに立つ。その「ひと手間」を惜しまないことこそが、組織全体の底上げになり、結果的に一番確実な近道だと痛感している。
新しいサービスを導入する際、事前の準備や研修に時間を割くことで、どうしても一時的には売上の数字が下がったり、コストがかかるように見えたりすることがある。スピード重視でとりあえず見切り発車したほうが、目先の数字だけを見れば手っ取り早いかもしれない。
しかし、そこで安易に飛びついて現場が混乱し、お客様への対応の質がブレてしまえば、会社としての信頼は一瞬で崩れ去る。だからこそ、かかるコストや一時的な数字の低下を恐れるのではなく、「長い目で見たときにどちらが本当にお客様のためになり、組織のためになるか」を基準に選ばなければならない。あえて立ち止まり、万全の体制を整えてから臨むこのアプローチこそが、結果的に会社を強くする唯一の道だと確信している。
こうした研修や、スタッフ全員が実践的なスキルを磨くための拠点として、荻窪店の店舗デザインをスタジオ風にしている。
ただ綺麗でオシャレなオフィスにしたいわけではない。トップが描いた戦略や新しいサービスを、スタッフがチームとしてスムーズに吸収し、実践するための「基地」としてこの空間を作った。
自分がすべてを背負って営業していた時代から、マニュアルと研修を通じて「組織で勝つ」体制へのシフト。その実践の場が、今の荻窪店であり、今回の管理受託営業の仕組みだ。
月額賃貸管理費用無料という新しい試みも、保証会社などの今後の新企画も、準備不足のまま見切り発車するのではなく、AIを活用して徹底的に骨組みを磨き上げ、研修という名の念入りな助走を経てから世に放つ。
属人化したワンオペの時代は終わり、これからは組織全体のクオリティとチーム力で勝負する。一時的な数字を追うのではなく、本質的な価値をお客様に届け続けるために進化を続けるこれからのRER Agencyに、ぜひ期待していてほしい。